ヨガのポーズをしてるとインストラクターから「呼吸して」って言われたことありませんか??
ヨガをしているとポーズをとることに夢中になってしまいがちなのですが、実はヨガでは呼吸がとても大切です。
ポーズは呼吸のためにあると言ってもいいくらい大切。ヨガに限らず呼吸法は、生きてる私たちにとって、とても大切です。
だけど、私たちは・・
うまく呼吸できていない人が多い・・・
私たちが生きてる限り24時間休まずにしてることが呼吸。
その数なんと1日に2万4千回~2万8千回。だけど、この呼吸を上手に行えていない人が多いんです。
呼吸は、生命を維持するための大切な機能ですが、それだけじゃないんです。
呼吸を意識的に行うことで、体そして心も健康な状態へと調整することができます。
ヨガのレッスンの最中はもちろん、日常生活でも効果的に呼吸法に取り組むことで、人生が変化していきます。
それでは今回は、
- なぜヨガでは呼吸法が大切なのか?
- 呼吸法の効果
- ヨガの代表的な呼吸法
についてお伝えします。
体が硬いとか関係なく、呼吸するすべての人が実践できるヨガ。それが呼吸法です。
なぜヨガでは呼吸法が大切なのか?
それは、呼吸が心や体の状態を映しだすからです。リラックスしながら安定したポーズをとれば、気持ち良いスムーズな呼吸となります。
逆に、体に負担がかかってしまうと呼吸が乱れたり、止まったりしてしまいます。
ポーズをとることにばかり意識が向いてしまって、呼吸が止まってる。ちゃんと呼吸できてないなかったりするのは、安全で快適なヨガとは言えません。無理をしてケガをしてしまっては、本末転倒です。
また、ヨガというとフィットネスのイメージが強いと思いますが、ヨガの教えは元をたどっていくと、古代インドに行きつきます。
ヨガの目的から紐解く呼吸法
ヨガはサンスクリット語で『ユジュ』のこと。結合という意味です。
生命、自然、真理に体、心、魂をユジュ(結合)させること。
心理に目覚めて、人間として正しい行いをし、本来ある幸せや、自由を手に入れ今のこの瞬間を生きること。
これがヨガ哲学の教えです。
ヨガの教えは、『ヨーガスートラ』という一冊の経典にまとめられています。
「スートラ」は「糸」の意味で、パタンジャリが説いた短い言葉を連ねたもの。その中でも基本となる8つの教えは、ヨガ八支則として記されてます。
①マヤ:日常生活で行なってはいけない5つの心得
②ニヤマ:日常生活で実践すべき5つの行い
③アーサナ:ポーズ
④プラーナヤーマ:呼吸法
⑤プラティヤハーラ:感覚の制御
⑥ダラーナ:集中
⑦ディアーナ:瞑想
⑧サマディ:悟り
聞き慣れない言葉もあると思いますが、ポーズのことはアーサナ、呼吸法はプラーナヤーマと言います。
ポーズや呼吸法は深い瞑想に入るためのもの。その目的はプルシャという「本当の自分に出会うこと」と記されています。
プラーナヤーマのプラーナは、サンスクリット語で「生命エネルギー」を意味します。
呼吸で取り入れられたプラーナは、神経や毛細血管の中に72000本くらいあるナディという通り道を通って体の隅々にまでいきわたります。
プラーナがあるから肉体の中に精神を宿すことができるし、自己実現力高めていくことができるのです。プラーナを効率よく体に取り入れる方法が呼吸法です。
呼吸は一番身近にあって、起きてる時も眠ってる時も365日1日たりとも休まずにしてること!この呼吸に意識を向けた呼吸法の実践で手に入れられることはたくさん!
ヨガの呼吸法の効果
私たちの体には、身体機能を健全に保つため自律神経という神経が働いています。これは無意識に働いていています。
体温、免疫、食べ物の消化や心臓の動きなどは、「自律神経」が自動的にバランスを保ってくれています。
この自律神経が調節している働きの中で、自分の意志で唯一コントロールができること。
それが、呼吸です。
呼吸を意識することで、自立神経の働きをコントロールできるから様々な効果につながるのです。
自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立つ
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- 活動している時
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- 緊張している時
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- ストレス状態にある時
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- 特に昼間にオンになる
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- 休息時
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- リラックス状態にある時
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- 特に夜間や睡眠中にオンになる
日中は活動、夜は休息というリズムが保たれています。
だけど、現代人は夜遅くまで仕事したり、強い光を浴びたりしているので、夜になってもなかなか休息モードに切り替わらず、睡眠の質が低下したりなど、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてる方が多い。
どちらか一方だけが優位な状態が長く続くと、倦怠感や不眠、血圧の上昇、手足の冷え、多汗、動悸や頭痛、肩こり・腰痛・便秘といったさまざまな不調が生じます。
この自立神経をコントロールするために有効なのが呼吸法なのです。意識した呼吸法を実践することで「脳」と「体」に酸素を供給することができるようになります。
さらに、精神的ストレスや悪い姿勢などの様々な理由によって呼吸が乱れると、呼吸機能が低下し、脳に供給する酸素が不足しやすくなるのですが、呼吸法を実践することで改善することができるようになります。
だから、
- 副交感神経をオンにして心身をリラックスさせる
- 睡眠の質を上げる
- 酸素を体内に入れて、血流が良くなる
- 脳の活性化
- 冷えの解消
- ストレスの解消
などの効果につながります。
また正しい呼吸をできると、横隔膜など呼吸筋を使うから、インナーマッスルの引き締めにもなります。ダイエット効果や、体のコア(体幹部)の安定性を高めることができるようになります。体全体のバランスや骨格の動きがよくなります。
マインドフルネスできるようになる
さらに、呼吸に意識を向けることで、「今、この場所、この瞬間」に意識を留めるマインドフルネスができるようになります。
過去のトラウマや未来の不安に心を奪われていると、不安や不要なストレスをため込んでしまって、幸せや平和を感じる心が閉ざされてしまう。
それが、呼吸に集中することで今に留まることができるようになります。雑念が取り払われて、頭をクリアにできるから深い瞑想に入ることができるようになります。
だから、呼吸法の実践は次のような効果につながります。
- 自分との繋がりを高めることができる
- 心と体の軸が安定する
- 引き寄せ力のアップ
- 幸せホルモン「セロトニン」が分泌される
- プラーナを高めることができる
- 感情のコントロールができる
- 自己実現力が高まる
それでは、ヨガの呼吸法の具体的な実践方法についてお伝えします。
ヨガの呼吸法の基本は「鼻から吸って鼻から吐く」
気づいたら口が空いていて、口で呼吸してしまってるという人もいると思うのですが、なるべく鼻で呼吸するように意識してください。
口呼吸のデメリット
- 免疫力が低下する。
空気中には目に見えない最近やほこりなど体にとって有害な物質が漂っています。口で呼吸すると、それらをダイレクトに肺に入れてしまう可能性があります。 - 口の中乾燥する。
- 呼吸筋をつかえない。
鼻呼吸のメリット
- 鼻粘膜や鼻毛がフィルターの役割を果たして、空気中の細菌やほこりなどの物質を除去してくれる。
- 肺に入る空気に適度な温度や湿度を与えて、体にとって優しい空気にしてくれる。
- 鼻呼吸をすると、肺に空気の出し入れをさせる呼吸運動を担ってる筋肉である呼吸筋が機能しやすくなる。
- 呼吸筋を使うことができるようになるので、長くて深い安定した呼吸が可能となる。
やり方
腹式呼吸で行う
基本は、胸式呼吸ではなく、腹式呼吸で行います。
・自然治癒力が高まる。
・ストレスによる体の不調や緊張を減らす。
・自律神経が整い、リラックス。夜ぐっすり眠れるようになる。
・お腹や胸の血流がよくなり内臓のコンディションが整う。
・基礎代謝が上がり、体の内側から暖かくなる。冷え性の改善。
・脳に酸素を送ることによって、脳を刺激し、脳が活性化する。
・自律神経のバランスが整うから、気持ちが落ち着く。
・心が生き生きした状態になる。
・前向きな気持ちになる。
・イライラ、怒り、空虚感などの感情を安定させる。
・雑念がなくなり統一される。
・直観力、集中力が増す。
・慈愛や感謝の気持ちが増す。
ヨガの代表的な呼吸法
呼吸法や特別な器具がなくてもできる。ヨガマットがなくてもできるヨガ、それが呼吸法です。
代表的な呼吸法を紹介します。
方鼻呼吸 ナディショーダナ
ナディは、先程もお伝えした通りプラーナの通り道で体中に7万2千本あります。
主要なナディは3つです。
- シュシュムナ:背骨に沿って存在するナディ
- イダー:左の鼻に存在するナディ
- ピンガラ:右の鼻に存在するナディ
ナディショーダナは、左側のイダーと右側のピンガラを刺激して、体のバランスを整えることができる呼吸法です。右脳と左脳のバランスを整えることにもつながります。
私達は普段、両方の鼻を使って呼吸していません。左の鼻または右の鼻のどちらかを使って呼吸しています。
どちらの鼻を使って呼吸してるのかで、体の状態を確認することができます。
【確認方法】
①指2本を鼻の下にあてる
②どちらの鼻で呼吸してるかを観察する
ヨガでは、左の鼻孔を通る道と、右の鼻孔を通る道を、それぞれ月と太陽に例えます。
右の鼻孔は、体に熱をおこす太陽「ハ(HA」のエネルギーと、左の鼻孔は、熱を冷ます月「タ(THA)」のエネルギーと関わっています。
⇒ピンガラが活性化
⇒心と体が活性化してる状態(太陽・交感神経・男性・暖かさ・アクティブ)
⇒イダーが活性化
⇒心と体が落ち着いてる状態(月・副交感神経・女性・冷たさ・リラックス)
チャンドラ・ベーダナ
チャンドラとは「月」の事
【効果】
・創造性や直観力開発(右脳活性)
・リラックス
【やり方】
左から吸う。息を止める。右から吐くの繰り返しです。
①吸うとき ハンドムードラの親指で右の鼻孔をふさぎ、左の鼻孔から吸う。
②吐く時 親指を放し、薬指で左の鼻孔をふさぎ、右の鼻孔から吐く。
このサイクルを1〜3分間続ける
ハンドムードラ:人差し指と中指を曲げる
スーリヤ・ベーダナ
スーリヤは「太陽」
【効果】
・体を温める。
・エネルギーを高める。
【やり方】
右から吸う。息を止める。左から吐くの繰り返しです。
①吸うとき ハンドムードらの親指で左の鼻孔をふさぎ、右の鼻孔から吸う
②吐く時 親指を放し、薬指で右の鼻孔をふさぎ、左の鼻孔から吐く。
カパラバティ呼吸
カパラバティ呼吸は、サンスクリット語から直訳すると、「光る頭蓋骨」という意味です。
その名の通り頭をすっきりさせる呼吸法です。
【効果】
・横隔膜や腹筋を使うので、体幹のトレーニングにもなる
・前頭葉を活性化させ、やる気を出す
・ボーっとした頭がスッキリし、直観力の向上する
※高血圧、心臓疾患、腰痛の酷い方は行わないで下さい。
【やり方】
①息を鼻からすべて吐く。
②鼻から大きく吸い、お腹を膨らませませる。
③鼻から短く勢いよくフッと吐き出した後、鼻から自然に吸う。
④これを「フッ、フッ、フッ、フッ」と短いリズムで繰り返す。
吐く時にお腹をへこませて強く吐き、吸うことはあまり意識せずに、一定のリズムで吐き続けます。
※12~14回呼吸を繰り返したものを1ラウンドとし、2~3ラウンド行う。
※空腹時に行いましょう。
ヨガの呼吸法がうまくいかない時は?
吸うときは、横隔膜が下がっておなかがふっくらと風船のように広がるイメージで行います。
吐く息で横隔膜を持ち上げ、おなかを奥に引っ込めるように薄くかたくする。
吐くときは、体内の余分なものを外に捨てるようなイメージで吐きましょう。
また、呼吸をするときは、「私はこの呼吸法を実践することで○○を手に入れる」などポジティブな意図をもって行いましょう。
呼吸法の効果を高めるコツです。
ヨガの呼吸法はいつすればいい?
仕事の合間や、電車の中、夜寝る前とかに時間を見つけ、こまめに呼吸法をおこなってみましょう。
面接・会議・試験・外出といった特に緊張することのある場面には、極力その前におこなうことが効果的です。
まとめ
今回はヨガの呼吸法についてお伝えしました。
ヨガの呼吸法は、アーサナより手軽にできるものです。ぜひ、あなたの生活の中に取り入れてみてくださいね。
私もかつては、いかにキレイなポーズをとれるかにばかり囚われていて、呼吸には注意を向けていませんでした。
今は呼吸に意識を向けるようになって、ただポーズをとるのではなく、しっかり自分を見つめられるようになりました。
呼吸法は自分の心を制御したり、今に留まるマインドフルネスを実践するためにも役立つ方法です。
ぜひ、実践してみてくださいね。